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「フリーワーカー仕事息抜き術(2)」
<第2回>「買ってはいけない!」
着るものがない!

 在宅勤務なのだから、服はそんなにいらないだろう……という人(→おもに夫)は、ぜっんぜんわかっていない。一日中家にこもって仕事をするからこそ、服が欲しくなるのだ。毎日会社に出勤していたときには考えられないほど、フリーになってからの私はおしゃれのことを考えるようになっている。
そのためか、いつもいつも「着るものがない!」と飢餓状態。本屋ではファッション雑誌数誌を立読みで熟読し、送られてくる「クレア」と「ヴォーグ」で化粧品や小物をチェックする。そして、たまに仕事で外に出かけたとき、空き時間を見計らってデパートに駆け込む。本当は代官山か青山にいって、お店を一軒ずつまわりながら買いたい。だが、それには時間がない。ついでにお金もない。だからデパートのバーゲンなのだ。
 そんなに好きなわりには、おしゃれにもファッショナブルにも見えないのが私の哀しいところなのだけれど、それは、ま、しかたない。着こなすだけの容姿と、かけられるお金と、ついでにセンスも足りないことは自分でも重々承知。それでも、服やおしゃれのものを買うのは楽しい。フリーワーカーにとしての最大の息抜きは、おしゃれ関係のショッピングだなあ、と帰り道に大きな紙袋を抱えて幸せな気持ちになる。

今年買った小物を大公開

女優やタレントが、よく私物公開というのをやっているのを真似て(→よく言うよな、よくやるよな、と自分でも感心する)、この秋向けに買ったものを見せてしまう。

 まず、靴。プラハで買ったイタリア製。何もプラハで靴を買うなよ、といいたいところだが、ついふらふらと店に入って、気がつくと買っていた。友だちの画家のフジタリマさんが、「私、靴が好きで好きで、靴屋を見ると入らずにはいられない」といっていたけれど、その気持ちがよくわかる。私は足が大きくて(24.5センチ)、日本では合うサイズがめったにないので靴屋は嫌いだった。だがアメリカやヨーロッパにいくと、こんな私など小足だ。NYにいったときには、目に入る靴屋という靴屋に入り、3年分くらい買いまくった。おかげで荷物が重くて、へろへろになったほどだ。その病気が海外にいくと再発するらしく、プラハでも何足はいてみたかわからない。
 ヘビ革とスエードの組み合わせ、というのが今年っぽくていい。だがこれに合わせられるスカートが一着もなくて(私は原則的にパンツ主体なので、スカートそのものを持っていない)持ち腐れ状態である。


 つぎにバッグとスカーフ。これまたプラハで買ったイタリア製。このバッグは、ほぼひと目惚れだった。去年買ったDKNYの黒革のジャケットにあわせたら、ぜったいに似合う。そう確信したのだが、いざ着てみるとバッグがかわいらしすぎていまいちだった。なので、このバッグに似合うスタイルを考え中である。
 スカーフは銀ラメが織り込んであり、角度によってきらきらするのが気に入った。黒かシルバーの胸元が少し開いたニットか、もしくは白いしゃきっとしたシャツブラウスを組み合わせてみようかと考えている。


 もう一つ、バッグ。実はこれは夏のバーゲンで買った。ピンクとどちらにしようかさんざん迷って、大きさの関係でこちらを選んだ。でも持ってみると、中が紫という組み合わせがイタリアっぽくて気に入っている。上のバッグと同じく、ブランドはCOCINELLE。


 最後に、なんといえばいいのか、毛皮つきの腕まき? これは雑誌で見つけて、うわっ、かわいいかわいいかわいいと店に走っていって、「ください」といったら、まだ入荷していなかった。しかたなく「ご予約」というのをしてまで買ったものだ。袖なしの黒のタートルのニットと合わせて着るぞ! と目論んでいる。ブランドはMOGA。

 とここまで書いたところでお気づきだろうが、まだ服を一着も買っていないのだ。先に小物からスタートしたのは、今年が小物重視だからで……というのは、ウソ。なぜか今年は稼ぎが悪く(フリーだとそういう年もある)、それなのに出ていくものが多く、服にまでお金がまわらないのである。買ったものが、すべて一万円前後というところが哀しい。というか、一万円を越しているのが1点しかないところが情けない。これだから「安物買いの銭失い」といわれるのかも。でもこういう小物をちょこちょこと買って、どういう組み合わせで着ようかなと考えるのが、本当は一番楽しいのだ。
フリーワーカーは収入が不安定だし、働かざるもの食うべからず、の原則が貫かれている世界で、とにかく馬車馬のごとく働きつづけなくてはならない。だから、つねに時間がなく、仕事に追われてしまう。でも、だからこそ、こういう「無駄な消費」で息抜きをするのは大事なんだと思う。……ま、こういっても、服や小物を買うのがやめられないただの言い訳にとられるんでしょうけれどね。
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