back
●ワールドカップへの道●
motoko jitsukawa's official page
<第4回>「いい男ウォッチングで味わうサッカーの愉しみ その1」
 ほんとっ、今回もいい男を見る愉しみがつきないW杯だった。  ワールドカップへの道(2)で紹介した「注目選手」はアタリもハズレもあったわけだが、終わったところで私の目にハートを入れてくれた選手をあげてみたい。
★イルハン・マンスズ
(トルコFW。17番。26歳。184cm79kg。ベシクタシュ所属)
 は〜(ため息)。いま私のパソコンの壁紙は、準々決勝でゴールデンゴールをあげたときの彼の笑顔である。何回見てもステキ。なんていうのか、スポッとはまっちゃった観があるのだ。
 韓国VSトルコの3位決定戦をアランくんとブリティッシュ・パブの大画面で観戦していて、私があんまりイルハン、イルハンと騒ぐもんだから、しだいに不機嫌になった彼が聞いた。
「いったいどこがいいんだ?」
どこって全部よ。ルックスがいいし、点取り屋だし、笑顔がかわいいし、テクニック持ってるし、スピードあるし、セクシーだし、唯一不満なのが結婚していること、と言ったら、「はー、ワケわかんない。きみだって結婚しているんだろ」
 そういう問題じゃないの。見ているだけで胸が痛くなっちゃうの。準決勝の対ブラジル戦のときに間近で見て、もうダメ、これ以上見ているとアブナイ、めまいがしそう、と思わず目をつぶってしまった。
「Jリーグに来てくれないかなあ」3点目をとったイルハンを見ながら私がふかーいため息をつく。
「ぜったいに無理だね」とアランくん。
「なんで?」
「ドイツに行くよ。ドイツ生まれなんだし」
「あああ、大金持ちだったらなあ。そしたら彼をスカウトして移籍させる」
「どこに?」
「FC東京に。で、ウチの前のマンションに住んでもらうの」
「彼が移籍したクラブの近くにきみが引っ越せばいいじゃないか」
 だからぁ、そういう問題じゃないんだってば。妄想を語っているだけなんだから、適当に相鎚打ってくれりゃいいのに。スコットランド人はまじめだなあ。
あー、誰か止めてください、このバカ(=私)を。一日一回イルハンを見ないと、禁断症状をおこしそうです。
ちなみにイルハンを見たい人はこのサイトへ。
http://www.number.ne.jp/2002/news_flash_2/photo_gallery/2002.06.22-60.html
★ヘスス・アレジャノ
(メキシコMF。21番。29歳。175cm69kg。モンテレイ所属)
 メキシコは前評判がまったく高くなかった。というか、ダメダメ、年寄りばっか、内紛でまとまりがない……とけなされまくっていた。それが無敗で決勝Tへとあがるという快挙。試合を追うごとにサポーターの気炎はあがり、ソンブレロと緑の代表ユニが開催される町にあふれるほどに。
 私が右サイドのタッチラインぎりぎりの高い位置に張っている21番に目を奪われたのは、宮城で行なわれた対エクアドル戦だった。うまいんだなあ。するするっと抜けていくドリブル。1対1になったときのひょうひょうとした身のかわし方。しなやかなトラップ。そして正確なクロス。ああ、美しい! サッカーのカタルシスみたいなものを感じさせてくれる選手なのだ。
 チョンジュでの決勝T一回戦のとき、まわりにいっぱいいるメキシコ人サポーター(実ににぎやかな人たちだった)に、「メヒコ、がんばって」と声をかけた。英語が話せる人が「えー、応援してくれるの。うれしいねえ」と言ったから「うんうん、私はアレジャノが大好き」と言ったら、「見る目があるねえ」とホメてくれた。
以下、そのおじさんたちとの会話。
「アレジャノのどこが好きなのかな?」
「スピードがあって、テクニックがあるところ」
「それだけかい?」おじさんたち、ニヤニヤ。
「あ、もちろんルックスがいいよね」
「ルックスがいいだけかい?」ニヤニヤ。
「あ、セクシーだよね」
 おじさんたちはじけるように笑って、うんうんと頷き、いきなり歌い出す。「アーイアイアイアイ、カンターレミヨ〜」
 どうやらアレジャノ=セクシーということになっているらしい。はい、セクシーです。カタルシスを感じるのは、そのセクシーさにあるのかもしれません。
 しかし、ひとしきり歌ったあとで、おじさんたちが「おれはどうかい? セクシーかい?」とこぞって聞いてきた(顔は笑っていたが目は真剣)のにはまいりました。いや、あたしはどうしてもウエストがバストの2倍というメヒコ体型にはついていけなくて……すみません。
アレジャノのいい画像が見つからないのですが、雰囲気はこんな感じで↓
http://www2.asahi.com/2002wcup/country/K2002053101121.html
★パオロ・マルディーニ
(イタリアDF。3番。34歳。185cm77kg。ACミラン所属)
 会っちゃったんである。世界のマルディーニさまに。声をかけちゃったんである。「パオロ」って、このあたしが。
 ときは思い出すのもおぞましい対韓国戦の翌々日。場所はインチョン・アエロポルト。  パオロは(と、いきなり友だち扱いだ)奥さんと一緒に大韓航空のカウンターに立っていた。カウンターに肩肘ついて、そばに立っている奥さんと何かしゃべっている。かっこいい。ガタイが大きい。ものすごく目立つ。
そしてイタリアが世界に誇る鉄壁DFが立っているというのに、誰も気づいていない(ことはなかったとあとでわかったのだが)
 最初通り過ぎた私は、「あれ?」と思ってあわてて戻った。
 パオロだと確かめたあと、意を決して声をかけた。
「チャオ、パオロ」(頭の中で考える。チャオでよかったんだっけ?)
 パオロ、一瞬ギョッとした顔をする。はっとした私はあわてて言った。というか、叫んだ。
「ワタシ、ニホンジン。ニホンジンヨ。カンコクジンジャナイ」
 あ、イタリア語叫びました。教科書どおり。
「ワタシ、こないだの試合でスタジアムにいたあるね。フォルツァ・アッズーリ、叫んだあるね。日本でもずっとアッズーリ、がんばってって応援していたあるね。今回はほんとにほんとに残念で、ワタシ、泣きました。でもこれからもアッズーリ、応援します」
 いやー、よかったよ。こういうことがなきにしもあらず、と妄想していたから、前もってイタリア語で作文して先生に添削してもらい、暗記しておいたのだ。ちなみに「勝利、おめでとう。とってもうれしくて、ワタシ、泣きました」というバージョンも暗記してある。でもってこれ以上しゃべれないから、これだけを一気にまくしたてた、というのが正しい。
 パオロ、とまどったような、でもちょっとうれしそうな笑顔を浮かべてくれた(と思った)。
 そこで私はまたもやはっとあわてた。
「あの、写真撮らせてもらっていいですか?」
 そしてごそごそデジカメを引っ張りだそうとしたところで……警備員と韓国人ファンが走ってきたんだわ。
 でもって、銃を装備した警備員が私とパオロの間に割って入ってきた。ううう、ここまで私とアッズーリの恋路(一方的だけれど)を邪魔するか、テーハミング……あ、すみません、つい口がすべり。
 押し戻された私にパオロはちょっと手を上げて「グラツィエ、チャオ」と言ってくれたのだ。いや、そう聞こえただけかもしれない。いや、たしかに言ってくれた。うっとり、ぼーっとしたまま私は飛行機に乗り込み、日本に帰った。
 はー、パオロ・マルディーニ。かっこいい。顔がデカイ。奥さんグラマー。
 でもなんであのときインチョン空港にいたのだろう? たしかアッズーリはその翌日に帰国したはずなのに。
マルディーニと奥さんの写真はここ↓
http://www.maldini.com/it/maldini/gallery/20022/69_796_paolo_maldini.html
back
本サイトの掲載文ならびに掲載写真、イラストの無断使用を固く禁じます。
All Rights Reserved.Copyright(C)2000-2002 Motoko Jitsukawa
design,illustration&maitenance by ArtWill