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<第2回>「こんな選手が好き!」
 サッカーが好きだ、というと、じゃどのチームを応援しているのか、好きな選手は誰? と聞かれる。返答に窮する。だってたくさんありすぎて、大勢いすぎるから。
 とりあえず今年はガンバ大阪のファンクラブに入った。ぎりぎりまで横浜Fマリノスに入ろうか、いや、やっぱり柏レイソルかな、と迷ったのだが、最終的にガンバにした。理由は簡単で、選手の顔写真が入ったシールがもらえるから(爆)。チーム年 鑑もめっちゃくちゃかっこよくて、ガンバ・ファンになってよかったと思わせる内容。
ま、それはさておき、そうはいっても、いま注目しているお気に入りの選手はいる。今回は私が今シーズン、深−くあつーい愛情を注ごうと考えているJ1の選手を4人あげてみたい。totoを買おうとお考えのかた、この選手のいるチームは必ず上位に食い込みます。どうか注目して、気が向けば応援してやってくださいまし。
新井場徹――ガンバ大阪DF
 ナニワの王子様。イタリアの王子様といわれている(もしくは中田のライバル……向こうはそう思っていないらしいが)トッティくんと同じくヘアバンドしているから(爆)。顔もプレーも似ていないけれど、いずれはね、ナニワの王子といわれるよう になるのだ、イバ(新井場のあだ名)は。
昨年のファーストステージ前半、ガンバがどーしても勝てなかったのは彼がケガのために欠場していたことが原因だ。そういいきっていい。なぜならセカンドステージ、彼が復活したとたんにガンバは勝ち続けてしばらく1位だったのだ。
 新井場徹はMFとして選手登録されている。だが、いまは最後列の右側にいるDFとして出場することが多い。そしてチャンスとみると、いつの間にか最前列でシュートを放っている。それはそれはもうすごい勢いで後ろから駆け上がる。昨年の2ndステージ、川崎フロンターレ戦での4点目。するすると一人抜けていって放ったシュートはすごかった。この試合で彼は2点もいれて、どちらもお手本にしたいほどの美しい得点だった。負けてしまったけれど、鹿島戦のときのコーナーキックに合わせて入れたミドルシュートも美しかった。そう、彼のプレーは華麗だ。
 イバの魅力はそれだけにとどまらない。危ない! という場面でも必ずそこにイバがいる。身体を張って相手のFWに立ち向かっていく姿は、ほれぼれするほど雄々しい。90分間、とにかく気を抜かない。守備に攻撃に、とにかく忙しい。もしかすると走り回ってしまうのが、彼の欠点なのかもしれない。王子は走り回っちゃいかんのだ。下々(ガンバの場合は無表情・フタガワくんとか、真冬も半袖・森下大臣など)に任せて、点が取れそう/取られそうなときだけ身体を張ればいい。どう悠然と構えるか――それが今年の彼の課題。早野監督はどうやら私とはちがう意見らしいけれど。
 そしてまたイバは涙もろい。2ndステージ、優勝がかかった鹿島戦で破れてしまったあと、大泣きしていたイバを見て、もらい泣きしてしまったことを打ち明けよう。
 その悔しさをぜひ今年は晴らしてもらいたい。プレマッチの名古屋グランパス戦でも得点をあげ、ますますチームの信頼は高まっているとか。すぐにキレてイエローカードをもらいまくるビタウのなだめ役としても期待してまっせ。
森島寛晃――セレッソ大阪MF(トップ下)
 ナニワの“いい人”。つねにフォア・ザ・チーム、フォア・ザ・サポーター。顔に似合った誠実で献身的なプレーが彼の持ち味である。
 森島さんの昨年の活躍はすごかった。1stステージではぎりぎりまで優勝争いにからみ、最後の最後で負けて(なんで負けんだよぉ!)横浜Fマリノスに優勝を持っていかれてしまったけれど、関西チームに森島ありきと周囲を怯えさせた。西澤アキ(現エスパニョール)とのコンビで優勝させてあげたかったなあ。
 その合間にハッサン2世杯であの世界一のフランス・チームから得点をあげ、アジア杯では縦横無尽に走り回って、ほとんどすべての得点に彼はからんでいた。私の中では、日本代表のMVPは森島さんである。とくに準々決勝イラク戦での森島さんには、鬼気迫るものがあった。ピッチを離れると、とたんにやさしい“いい人”顔になるのに、試合中は怖いほどだ。相手にしてみれば、森島さんみたいな選手はすっごく“いやなヤツ”だろう。相手のちょっとした気の緩みにつけこむし、少しでも空いているスペースがあるとたちまちあがってきてシュートを撃つ。敵には回したくないタイプ。
 ただ問題は、“いい人”すぎて疲れちゃうことである。気を使いすぎて、やさしすぎて、ついには燃え尽き症候群にかかってしまって2ndステージはずっと休場。今年はセレッソのキャプテンもやめたそうだし、ピッチの外では“いい人”はほどほどにして、ピッチの中で敵にとって“いやなヤツ”になることだけに専念してほしい。
 それと、あの、どうだっていいんだけれど、いくら奥さんとラブラブだからって、カルティエのラブリングはちょっと恥ずかしくないですか?
鈴木隆行――鹿島アントラーズ(FW)
  エバラギの除雪車。
昨年のナビスコ杯でばかすか点を取り、急浮上してレギュラーFWになったとき、「え? こんな人、鹿島にいたっけ?」と思ったのは私一人でないはず。なんでもレンタル移籍で川崎Fにいっていたそうで、それまでほとんど目立たなかった。鹿島ではFWの柳沢・ザ・色男、平瀬・ザ・バーモンドカレーのつぎあたりの控え選手だったはずだが、2ndステージからはレギュラーを獲得。
 顔に似合わない金髪をなびかせて、ガツガツと点を取りにいく姿ですっかり私のハートをつかんだ(→死語の連続)。私はアンチ鹿島なので、彼がボールを持つと「止めて〜、誰か早く隆行をとめろー!」と叫んでしまう。それくらい、コワイ。それくらい、勢いがある。
 けっしてウマイ選手ではない。どちらかといえばヘタクソ。トラップもきれいに止められないし、パスも高すぎたり低すぎたり、ドリブルも華麗からはほど遠い。もしかしたら身体が硬いのかな。それとも不器用なのかな。ゴール前で相手DFを足さばきで抜いていってクロスをあげたりシュートする、というシーンをまだほとんど見たことがない。
 走る姿も、馬力はめちゃくちゃあるけれどスピードはあまり出ない大型列車みたいな感じ。それで敵方を蹴散らしていく姿は、そう、除雪車なのだ。
 それなのに、ああ、それなのに隆行は点を取る。それも貪欲に。ぜったいに決めてやるもんね、と体当たりする。ノシノシと走ってくると、ガシガシとタックルでボールを奪い、あとはもう一直線にゴールを目指す。そのあたりが柳沢・ザ・エエカッコシイとはずいぶんちがう。きれいなサッカーが好きな人には、たぶんあまり好かれるプレーじゃないと思う。だが、私はもう貧乏侍のようなその姿勢だけで彼を買う。
 地方エリート集団のような鹿島にあって、隆行・ザ・除雪車は異質だ。流れ者の野武士のような無頼なところがある。だが断言しよう。秋田が、柳沢が、名良橋が、ビスマルクがいるからではなく、隆行がいるから今年の鹿島は要チェックなのだ。
高原直泰――ジュビロ磐田(FW)
 静岡の修行僧。
 私の夢(妄想ともいう)の中には、しょっちゅう高原くんが登場する。高原くん、4WDのたぶんパジェロじゃないかと思われる車に乗っている。素足にプーマ。黒い半袖Tシャツを着てハンドルを握る腕は筋肉が数えられるほどに浮き上がっている。小さなサングラスをかけた顔をときどきちらっとこっちに向けて「腹、減ってない?」「寒くない?」とか聞いてくれる。そのたびに私はどぎまぎして「ううん、大丈夫」と答える。
 で、私も聞く。「高原くん、スペイン語の勉強、進んでる?」すると、困ったような顔をして、でも自信満々に彼は答える。「ああ、シュンスケよりゃマシだよ」。それから2人でウノ、ドス、トレス……とかベンキョーするのだ。私が「レアルよかデポルティボにいってもらいたいなー」と調子に乗っていうと、とたんに厳しい顔になって「トップチームに行くと出場機会が減る。それは困るんだな」とかいうから、私が「高原くんなら大丈夫だよ。完全移籍でいったら、きっと2年後には不動のレギュラーだね。マカーイもトリスタンも(いずれもデポルティボのFW)蹴散らしてさ」とおだてる。高原くんは「やめてくれよぉ」といいながらも、まんざらでもない顔……と、どこに向かっているともわからないまま、2人のドライブは静かに続くのであった……。
 高原くんはものすごくセクシーだ。走っているところ、シュートを撃っているところ、転んでいるところまでも色っぽい。男の色気、というと、私は高原くんを思う。だから私の夢の中に登場するのだろうけれど。
 たぶん実際の高原くんはちがうのだろうが、私の夢の中で高原くんはとても禁欲的だ。すべてはサッカーのため。サッカーの神様に仕える修行僧のようなイメージ。シドニー・オリンピックの南アフリカ戦であげた得点を見るまでもなく、彼はじっと勝機を狙って、ここぞというときにばしっと決めるというタイプだ。あっちへこっちへと走り回り(ときには味方の邪魔になるほど)、うるさい動きをして相手のディフェンダーをいらいらさせた挙句に、点を取る。そのあたりが持ち味なのではないか。高原くんは小さいころから天才的に優れた運動神経の持ち主だったそうだ。走る、投げる、跳ぶ、何をやらせても抜群にできた。そういう子、どの小学校にもいますよね。運動会で一人だけ群を抜いて光っている子。背が高くて体格がよくて、ついでに顔もよくて、学校のスター的存在。そのまますくすく伸びて大きくなったという人である。彼のまわりにはそういう輝きがある。だから屈託がない。いいところでもあり、欠点にもなっちゃうのだろう、これからは。
 こういった天才型プレーヤーは能力だけに頼って崩れていってしまうタイプと、ストイックに目標に向かってがんばり抜くタイプがあるけれど、高原くんはあきらかに後者。なんでも小学生のときから壁に練習表を貼って、ノルマをこなせたら印をつけていたそうな。部屋の整理整頓にも細かかったらしい(お母さん談)。つまりは修行僧なのである。
今年は得点王を狙ってほしい。いつまでも先輩・中山ゴンに取らせておく手はない。ついでに私の夢の中にも、もっと登場してね。
次回は注目している海外の選手をあげてみたい。グティ(レアル・マドリー)、セルジオ・コンセイソン(パルマ)、パオロ・マルディーニ(ACミラン)、ダヴィッツ(ユヴェントス)あたりを……。
back似顔絵作 YUKA SAKURAI (勢いで描いてしまった...似てないって思われた方....ゴメンナサイ......./YUKA)
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